Not Found

何処にも居ない 居てはいけない

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男たちはわたしのからだをむさぼり、わたしの肩と腿に歯をたて、わたしの腹を飲み込んだ。
わたしは彼らに快楽を与え、背に爪をたて、なぐさめ、あなどり、へつらった。わたしは彼らの前で這いつくばった。彼らはわたしの愛撫で快楽の悲鳴をあげた。
彼らはわたしを所有し、わたしを獲得し、わたしを奴隷にしたと信じた。
そして憔悴しきって帰った。

わたしは女だ。傷だ。深い穴だ。
彼らはみな死をもとめてわたしのもとにやってくる。
香油をすりこんだわたしの肌の上に自らの消滅を嗅ぎにやってくる。そしてみずからの汚辱を消し去りにやってくる。
わたしは自分自身の殻に閉じこもることもできただろう。
わたしは万人にひらかれている。
あやまちから自分の身を守る女と堕落した女の、どちらが地獄に落ちるのだろうか?

生きるのに向いてない

未成年の頃から精神科に通い続けてこんなに長く生きるとは思ってなかった。

 

私は一度のODで死ぬと思いこんでいて 苦痛から解き放たれるものだと思っていた

神様は弱虫が嫌いだからいつも中途半端な私を殺してはくれない

私はまだ生きたいから何処か躊躇している

これで死ななかったらどうなるのかなーとか 両親は悲しむだろうなとか

バグってるんだろうけど 仕事が最近うまくいってたからお客さんが辞めちゃって悲しむかなとか

でもねー最近仕事で体力仕事だけど何されても痛くないんだよね

 

お腹がグボ、グボ、て鳴る。下腹が痛いけど次の仕事のとき、元に戻ってる。

筋肉ってすごいなーと思った。

そして、長年やってきた精神に悪いこの仕事はだんだんだんだんあたまの中のぶちのめた

窓から飛び降りても無理って何?

 

薬じゃ死ねないのか

でもさ、飛び降りしたら死ねるよね

 

思い残りしたことややりたいことは たくさんで

でも死んだら何も無かったことになるよね

 

人を嫌いになったり 傷つけたりするのいや

 

 

もしもの話

落下した時、例えば下が鉄筋じゃなかったら。

もし私の足が なんかの拍子で地面の打ちつけられてなかったら。

何かのクッションがあれば。

 

足に拷問器具でも取り付けられてるこの痛みとも遠縁だったかもしれないのに。

 

もし私がタトゥーを入れなかったら。

 

あの時知識があって、間違えて入れた猫のタトゥーをピコレーザーとかで消していたら。

腕は元の皮膚のままだったのかとか。

 

「もしも」が頭の中をぐるぐるした。

 

私が生きるには少し生きづらい、でもそれは私が私を生きづらくさせてるのだとしたら。

 

もし、もし....

 

いろんなことを考えていたら頭がまたパンクした。

 

もし、もし.......................

 

間違いないのは全部私がしたことが私に返ってくるってこと。

私は自分で自分の首を強く絞めた。数年後困ることになるってわかっていても。

 

「今より良くなる」ってことは生きることに少し望みがあるってことだ。

痛みが消えたらもっと生きやすくなるんだろうか。

 

「痛くないなら手術しよう」と言ってくれた母には偉大さを感じた。

治療費のこととか 考えないんだ。

私が楽になることだけを考えてくれるんだ....

そう思ったらいつまでも子供っぽい自分が嫌になった。

 

そっか、痛くなくていいんだ。

辛くなくてもいいんだ。

それってものすごく幸せなことじゃないか。

正しい人

物語シリーズの中で一番気に入って、一番胸に刺さるのは猫物語

 

「お前はなんでも知ってるな」

のあとに

「なんでもは知らないわよ。知ってることだけ」の羽川翼

めったに本は読まないのにこの小説は読めた。

自分にぶっ刺さって、痛苦なるほど羽川翼に共感できたし

羽川翼を取り巻く人達にも胸を抉られたからだ。

 

 


「もちろん、委員長ちゃんのご両親は褒められた人間じゃないさ――話していてそれはわかった。あの人達は、両親であることを放棄している、それは明らかだった。だけど阿良々木くん、彼らの気持ちを理解しないわけにはいかないよ。あれだけ正しい人間と一つ屋根の下で過ごすなんて――しかもそれが自分の娘だなんて、ぞっとする。十何年間、正し過ぎる人間がずっとそばにいたんだぜ。可哀想に、彼らがあんな人間になったのは、委員長ちゃんと一つ屋根の下で暮らしていたからに違いないよ」『猫物語(黒)』256-257p

 

 

 

「たぶんあなたは白過ぎるーー白無垢過ぎる。馬鹿な奴に対して馬鹿のままでいいって言う非情さが、駄目な奴に対して駄目なままでいいっていう残酷さが、きっとあなたには何もわかっていないーーーまして欠点を美徳だと言うのは悪意でしかないことを、理解しようともしていない。マイナスを肯定する取り返しのつかなさがちっとも分かっていない。

すべてを受け入れちゃ駄目なのよ。それをしちゃったら、誰も努力しようとしなくなる。向上意欲がなくなってしまうーーそれなのにあなたは、馬鹿さや駄目さに対して、何の警戒心も持っていない。人からつけ込まれることがわかっていても何とも思わず善行に走り、集団の中で浮いてしまうことがわかっていても論理的であろうとする。そんな恐ろしいことってある

?そんな崖っぷち人生で、よく今まで五体満足で生きてこれたと、その点だけは感心するわ。結論として、あなたはいい人なんじゃなくって、聖人でも聖母でもなくってーー闇に鈍いだけだわ。それじゃあ.....野生として落第よ。」

 

「いい人なんじゃなくって、闇に鈍いだけ。

闇に鈍いだけ。

落第、落第、落第ーーつまり。

白くて。

白過ぎて。

白無垢で。

白々ーーしい。」『猫物語(白)第三話』

 

 

野生として落第。

羽川だけに言えることではないと確信している

 

日々

私が1人のベッドで目覚めた時、もう寂しくなくて

静寂をもう一度愛せるようになった

 

心肺停止の患者に打ち込む電気ショックのように 何かのスイッチで感情が爆発する現象に悩まされている。この頃は。

 

心の中で嫌だったなあと思った事やふわふわと悩み続けることしかできないものごとがフラッシュバックして

突然叫び出したくなり、泣き出したくなったり、興奮して 再起不能の状態になる。

何か心の琴線に触れて それが爆弾の起爆スイッチみたいに。

 

そんな時は自ら毒になるものに触れた。

毒を以て毒を制すの言葉通り ほかの痛みに委ねた。

決して楽にもならないし 食べ物の味は砂と砂利、吸う煙の味もそれと一緒だった。

 

ただ野良猫みたいにふらふらとタバコ屋に入り、注文をして吸った煙だけは身体に感覚が戻ったみたいに感じた

 

その時私は初夏の暑さにやられていて

胸の谷間に汗が流れて いつもの震えが止まらなかった。

 

足に違和感を覚えて、足が震えている。

こんなのを誰かに見られたらきっと変に思うだろう。

スカートの裾を直すふりをして足を隠した。

足も痛かった。痛みで余計に震えは止まらなかったんだろう。立ち上がるのも困難な程痛む。

私には逆さまになったってこんなレシピは思いつかないだろう。

 

ーーー料理がうまい人はタバコを作るのも上手いんだ

と思いながら煙を吸うけどだんだん苦しくなってくる。

天井を見る。少し楽だ。

 

痛みがなければ。

暑さがなければ。

震えと、この眠たさがなければ。

もっとこの状況を楽しめたのかもしれない。

 

「なければ」を繰り返していると涙が出そうだった。

 

店員の顔すらちゃんと目視できない。

人はダメだ。居ちゃダメなんだ。でも店に入ったのは私じゃないか。

緊張して震えているのか、安心できる自分だけの家を思い出して帰りたいと帰りたくないの行き来をする。

 

そのうちしんどさに負けて帰ってしまったんだけど

 

外にも出れず、自分の居場所を見つけることの出来ない自分に嫌気がさしながらまた 野良猫みたいにふらふらと家に帰って、そのままの格好でベッドに寝転がった。

 

猫が様子を伺いに来る。

 

やすりで心を削ってるみたい、私どうすればいい?

 

ーーーどうすればいい?

猫に話しかけると掠れた声が出て、ちょっと笑った。

猫はきょとんと私を見て喉をならして そのまま近くで眠ってしまった。

 

あなただけが私の居場所。

私は猫になりたくない。

あなたを飼う居場所で居たい。

 

だけど、こんなに脆くてどうしよう?

頼りがいがない。

今日吸ったタバコは美味しかった。収穫はそれだけだ。

 

ねえ私 どうすればいいんだろう?